カテゴリー:コラム  2014/09/05

東京弁護士会
弁護士 紙子 達子

 NHKの朝のテレビ番組「花とアン」や「ごちそうさん」の主人公や物語に登場する女性がきれいに着物を着ている姿をいつもうらやましく見ています。着物の着方や柄、帯の結び方など、場面によって違うところが勉強になります。台所で炊事をしている時、掃除をしている時、学校での着方、仕事場に行っている時、社交の場でなど、場面による着物自身の違いや着方の区別、帯の結び方の違いなど、背景の、そのときの女性の置かれた立場ととも興味深く見ています。

 私は1974年4月から弁護士として裁判所に通い始め(?)ましたが、当時は着物で法廷に立つ女性の弁護士先生がいらっしゃいました。着物の弁護士先生とご一緒に事件を担当したこともあります。男性弁護士はみな背広。私から見ると、この頃は特に女性も修習生はみな一律に黒っぽいスーツにきちんとブラウスを着ているという印象ですが、当時は女性の修習生も弁護士も服装は今より質素ではあったものの、自由で多彩だったと思います。もちろん最近は斬新で素敵なデザインの方も多く見かけますが。

 それまでまったく着物を所持さえしたことがなかった(そもそも体型からして和服が似合わないと言われていた)私ですが、60歳にならんとした時、娘の結婚式で必要だったことを機に、一気に着物に興味がわいてきたのです。普通にすっと着られるようになりたいと、着付けの勉強を始めました。ところが、カルチャーセンターの着付け教室に入ったが見事に落第。若い人の中で目立って覚えの悪い、教え甲斐のない生徒に先生は苛立っていました。その後運良く仕事関係で知り合った先生に家庭教師になっていただいています。相変わらず覚えが悪く、何年かかってもきれいな着物の着方のこつや帯の結び方を習得できず、それでもやさしく(本心は哀れみをもって?)「弁護士さんだからお忙しくて時間がないから覚えることが難しいのよね。」と、苛立ちせず「理解」してくださって、おかげさまでかろうじて着付けの勉強を続けられています。この夏は猛暑でしたが初めて絽の着物をなんとか格好がつく着方で着ることができ、町を歩けました。いくらか勉強の成果がでました。

 着物は、着物の生地や柄の選択から、帯はもちろんのこと、帯揚げや帯締め、襦袢の襟、足袋や草履・下駄などの履き物まで、いろいろな組み合わせがあり、昔からのしきたりもあるようですが、しかしそれはなるべく安価でおかしくない程度に対応することで勘弁してもらうと、結構楽しく遊ぶことができます。おもしろいのは、着物と帯や小物の組み合わせは、洋服の場合の組み合わせとまったく違ってくるということです。洋服ならとても合わせられない色の組み合わせが、着物の場合は素敵な組み合わせになることがよくあります。

 いつか法廷に着物で立ち仰天されることを夢見ながら、相変わらず姿見の前で汗びっしょりになって勉強しているところです。


カテゴリー:コラム  2014/09/01

東京地方裁判所
裁判官(匿名)

今回機会をいただきまして、このような場にコラムを書かせていただくことになりました。

私は、現在東京地裁で裁判官として勤務しています。これまで数か所の裁判所を経験しました。その都度引越もあり、任官した時に人生は旅のように過ごそうと心に決めたとおり、その土地その土地を楽しみ、そこでの出会いを大切にしています。夫も同業ですから、これからも旅のような裁判官生活を送ることになると思います。

気がかりなのは小学生の娘のことで、今後も転校を重ねることになると思うと、娘には苦労をかけます。しかし、それを強さに変えて成長して欲しいと願っています。私自身は、仕事もありますが、「裁判官の子に生まれるんじゃなかった!」なんてことを娘が感じないですむよう、娘との時間を一番大切にしていています。もちろん夫の協力が不可欠ですし、夜の会合も多いので民間の学童保育をお願いし、急病のとき未だにベビーシッターをお願いしているように、他人の助けも不可欠です。

気になるのは、よく「実家からの手伝いはないのですか?」と言われることです。私も夫も実家は遠方ですが、以前の実家に近い勤務地でも、普段の手伝いを頼むことはありませんでした。そもそも私の母は現役で働いていますし、娘が親になる約20年後に私は働いていると思います。実家の支援がないと実現できない女性の社会進出というのは、矛盾していますよね。女性が育児をしながら働きやすいと言われる裁判所でそうですから、少子化も進むばかりと心配になります。

なお、お世話になっている民間の学童保育は、東京への引越が決まった時に、たまたまインターネットで見つけて藁にもすがる思いで申し込んだのですが、期待以上に良いところで、英語学習のほか、様々な公園や社会科見学に連れて行くなど、個人では難しい経験をさせてもらえています。

必要な情報を探すのが難しい世の中ですし、せっかくの女性の集まりですから、法律のことだけでなく、そのような情報交換もできる場になるといいですね。


カテゴリー:コラム  2014/08/22

東京弁護士会 58期
弁護士 里岡 玲子

事務所を音羽通りに移したのは、昨年の6月。

緑が望める事務所での仕事に憧れを抱いてのことでした。

今の事務所は、鳩山会館の道路向かいにあり、会館の緑を目の当たりにすることができます。

音羽御殿ともいわれるその会館は、最近ではNHKの朝ドラのロケに使われるなど、古式ゆかしい洋館ですが、音羽通りの門から洋館の玄関まで続くお庭は、都会ではあまりお目にかかれない、自然の宝庫でもあります。

春には桜、それが終わるとツツジ、バラ、その後は栗や柿の花が咲き、秋にはそれらが実をつけあるいは紅葉し、さらに葉を落とした後は雪化粧をし、と一年を通じて道路向かいの観客の目を楽しませてくれます。

その借景の番人となっているのが、鳩山会館の門の隣に建っている2階建てのお家なのです。

建築から50年ほど経っているのではないかと思われるその建物は、マンションの狭間にひっそりと、しかし矍鑠と佇んでおり、この建物がなければ、私の借景の半分は消滅してしまうのです。

お住まいの方とお会いしたことはないのですが、末永くお住まいいただくことをひっそりと祈っている、今日この頃です。


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